お片づけ個人レッスンについて

『「51C」家族を容れるハコの戦後と現在』 鈴木 成文・他(著)お片づけライブラリvol.10

こんにちは♪
プロフェッショナルオーガナイザーの小坂 泉です。
 

本日の1冊

「51C」家族を容れるハコの戦後と現在
鈴木 成文 上野 千鶴子 山本 理顕 布野 修司 五十嵐 太郎 山本 喜美恵
4582544274

今あなたが、あたり前のように住んでいる「家」。
 

その空間が、あなたにどのような影響を与えているかを考えたことはありますか?
 

家も、つまるところ「モノ」の一つです。
 
家という「モノ」には、どんな特性、歴史があるのでしょう?
 

今日のお片づけライブラリでは、私たちが家を選ぶときに出てくる「nLDK」という言葉から、家の歴史と問題にせまってみます。
 

その問題に触れてみたら…ものすごく重大な、他の問題につながっていることがわかりました。
 

本書は、整理収納アドバイザーの参考書籍にも指定されています。
 

早速、気になった内容をチェックしてみましょう!
 

※nLDK:プライヴェートな個室の数「n」、リビング「L」、ダイニング「D」、キッチン「K」によって住居の間取りを表わす表記法。第二次世界大戦後、数百万戸と言われる住宅不足を背景に、住宅を短期間で大量に供給するための標準設計が模索とされた。当時、庶民住宅の住まい方を研究していた西山夘三によって、「食」と「寝」の分離の必要性が唱えられ、食堂と台所を一続きとしたダイニングキッチン「DK」をもつ平面計画である「51C」と呼ばれる住戸タイプが生まれる。吉武泰水、鈴木成文らによる建築計画学の進展もこれに貢献した。「51C」が全国に広がるなかで、次に「公」と「私」の分離が重視され、家族団らんの場としてのリビング「L」と、家族の構成人数に合わせた個室を盛り込んだ「nLDK」と表記される住戸タイプがつくりだされる。
(参照元:http://artscape.jp/artword/index.php/nLDK)
 

■「51C」の成立とその後の展開 -- 鈴木成文
●「51C」とは
– 「51C」とは、一九五一年度公営住宅標準設計の一つの型の名称である。
公営住宅とは、県営住宅や市営住宅といった公的な賃貸住宅で、当時はA、B、Cという三つの型があり、住戸面積は共用階段部分を含めそれぞれ一六坪、一四坪、一二坪で、その最も小さいタイプのものが51Cである。
 

●「51C」成立の背景
– 太平洋戦争の末期、アメリカの空襲により日本の大都市の多くが焼け野原になった。
迫ってくるその年の冬をどう越すかが大問題で、政府は「応急越冬住宅」を建設した。(中略)これが国庫補助住宅、後の公営住宅の前身になったのである。
 

「分離」と「重合」、これが「51C」の設計における一番の眼目であった。
 

六〇年代後半あたりからは、片親世代やDINKS、単身居住といった標準家族以外の世帯が増加して、家族構成そのものも多様化した。このような生活の「変化」と「多様化」にもかかわらず、供給される住宅はいわゆるnLDKが圧倒的で、おそるべき画一化が支配していたのである。
 

阪神大震災のあとの応急仮設プレハブ住宅で、独居老人などの孤独死が二五〇例もあった。
 

老人に限らず住む人にとって「見る、見守られる」、近隣との親しい関係、気配を感じるといったことがいちばん大切なことのはずなのである。
 

現代の家族がプライバシー大事さから閉鎖化している。上野社会学によると、家族の絆であったセックスが外部化し、次いで介護・ケアが家族の絆かと思ったらそれすら外部化して、近代家族は今や終焉を迎えたのだそうである。
 

社会がどのような方向へ流れていくのか、その方向が望ましい姿なのかどうか、それを真剣に考えなくてはいけない。あるべき姿、目標像を立て、それに向かって住み手を引っ張り、誘導していかなくてはならない。それが51Cをつくった理念であり、建築計画というものである。目標像をしっかり立てるために、調査を行い、歴史を学び、環境を考えるのだ。
 

■性の絆からケアの絆へ -- 上野千鶴子
空間の規則を住宅の「シンタックス」といい、実際の使われ方を住宅の「プラグマティックス」と呼ぶとすれば、そのあいだにはズレのあることがわかる。
 

近代家族において「家族する」ための条件は、夫婦がいること。だが「夫婦である」ことと「夫婦していること」とは違う。では「夫婦している」とはどういうことなのであろうか。それは、現実はともかく、タテマエの上ではセックスをしていること、少なくともそのふりをしていることである(その点、セックスレスのカップルを「未完成婚」と呼ぶのは、たいへん象徴的である)。
 

日本の住宅において洋風化が最も遅れている部屋は寝室であるということであった。
 

個室が情報端末につながっており、家族のメンバーそれぞれが個別のルートで社会につながっている
 

そこで私は、山本理顕を「空間帝国主義者」と命名した。彼の命題は、「住宅とは、空間化された家族の規範である」というものである。つまり、「家族の住むところが住宅なのではなく、住宅に住んでいる集団を家族と呼ぶ」ということである。
 

住民の入居理由のベスト3は、「早い」「安い」「近い」。「転居したいと思っていたときに募集があった」「県営住宅だから、家賃が安い」「ロケーションがよくて通勤に便利」。この三つである。実際に入居してみるまで、特異な設計など気にしていないことがすぐに明らかになった。
 

nLDKというモデルは、誕生してから半世紀たった今も、まだ耐用年数が尽きていない、驚くべき長命なモデルである。このモデルが再生産されていて、これに代わるモデルが登場していないという事実こそ、建築家の怠慢の表れではないか、と私は言いつづけてきた。
 

「家族を超えるハコを構想せよ」
 

なぜ個室は、すなわち寝る場所なのであろうか。日本には「ごろ寝」や「雑魚寝」という文化がある。個室は寝る場所であるよりも、個人のアクティビティが行われる場所と考えたほうがいいのではないか。そう考えると、住宅は「食う」「寝る」「セックスする」というプライベートな活動に決して還元されない空間だということになる。
 

ここで、住宅とは何だったのかという根本的な問いに戻りたい。
 

結論から言えば、住むためだけ、寝るために帰るだけの空間は、もういらないということである。
 

では、最後に家族には何が残るのか。家族が家族でならなければならない理由はどこにあるのか。もはやセックスがその理由にはならないとすれば、残るのは育児・介護・介助といった、総じてケアと呼ばれるものである。依存的な他者を抱え込まなければ、家族は家族である積極的な理由はない。近代家族の核心にあったものは、ケアの私事化であった。裏返して言えば、育児・介護の脱私事化こそ、近代家族の終焉の指標と言えるだろう。
 

私の見解では、近代家族はもうとっくに終わっている。耐用年数が尽きているのに、息も絶え絶えにまだ続いていることが問題なのだ。むしろ家族がケアの機能をもはや果たせないという現実を認めて、その対策を考えるときがきていると言うべきだろう。
 

■シンポジウム「51C」は呪縛か
「nLDKをいかにして潰すか」
 

空間は生活や家族を規定できるのか。
 

nLDKという商品
 

LDKにはシステムキッチンが不可欠ですが、私はシステムキッチンを「お仏壇」と呼んでいます。実用の役に立たなくとも、過剰装備で家族するシンボルとしてタテマエ上なくてはならないからです。この人たちには、「家族する」ことへの幻想がはたらいています。つまり「家族している」ふりを、他人に対してだけでなく、自分自身に対してもパフォーマンスしたい、ということが見えてくるわけです。
 

家族するふり、セックスするふりはもういい。家族が家族をしている理由はそれぞれにあるのだから、自分たちの現実をありのままに認め、それに合う空間を考えていったらいいいのではないかということです。
 

■「51C」:その実像と虚像 -- 布野修司
住宅がnLDKという容器に還元され、一個の商品と化していったことは、社会全体の産業的空間編成の問題である。いくら提案があっても、それを受け入れる居住者、消費者がいなければnLDKが蔓延することはなかったはずである。問うべきは、空間の需要・供給のシステム、生産消費のメカニズム全体である。

…い…いかがでしたか?
 

書いていたら、めちゃくちゃお勉強っぽくなってしまいました、すみません(汗
 

どんどん話が壮大になり、めまいがするようです。
 

家そのものの問題。
 

この問題は、私たちが日々感じている「何で毎日がこんなに大変なんだろう…」という違和感に直結しているのではないか…と小坂は感じます。
 

ちなみに、本書の発行は2004年。今は2017年です。
 

13年もの間、解決されていない問題です。
 

「nLDK」も、他者が規定した商品。
 

その商品(モノ)を選ぶのは、私たち消費者です。
 

スケールもハードルも高いですが、少し余裕ができたら、「家そのもの」にも、目を向けてみたら実は必要なかったモノが見えてきます。
 

気になった方は、ぜひチェックしてみてくださいね♪

目次

第1章 「51C」の成立とその後の展開
第2章 性の絆からケアの絆へ
第3章 「現在」の集合住宅
第4章 シンポジウム「51C」は呪縛か
第5章 シンポジウムを終えて
第6章 「51C」:その実像と虚像―戦後日本の住宅と「建築家」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA